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2007年11月26日 (月)

武士の一分(ぶしのいちぶん)

山田洋次監督による時代劇三部作の三番目。原作藤沢周平。主演木村拓哉。松竹、2006年。
感想をいくつか記す。

▼親類なるものが、いかに頼りにならないものか、いかにうわべだけのものか。血のつながりよりもやはり大事なものは、夫婦の絆。ともに暮らす者の絆。

▼いざという時は腹を切らねばならぬ、緊張感を義務づけられた武士。老いぼれているが部下を気遣う、毒味役の上司の、責任をとっての切腹。般若心経を唱えてから、奥の間で、夜、ふすまの後ろに多くの関係者がしずかに哀しく見守る中での自刃。

▼上下関係、身分関係にがっちり固められてはいるが、個人一人ひとりに自我がないわけではない。むしろ、身分相応の役柄を意識しながら、そのなかでしっかりした考えもっているように描かれている。
▽だから、日本に住む我々は、封建制のもとに生きているわけではなく、民主主義や基本的人権の思想の下に生きているわけだから、そのなかで、現代における役割を認識しつつ、各自の考えをしっかりと保持していかねばならないのであろう。仏教や真宗の教えは、封建制下でのみ有効だとする考えは妥当ではない。

▼ご新造さん、加世役の壇れいがなかなかよい。

▼木村拓哉の演技は、光を失ってからのほうが当然に難しいものであったろうと思うが、違和感なく演じることができたようで、役者として一流であると思う。

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